バリウム検査を拒否できる?企業の対処方法

健康診断にバリウム検査が含まれている場合に、従業員から「検査を受ける必要があるか、できれば受けたくない」という問い合わせがきて、対処に困惑することはありませんか。今回はバリウム検査(胃部レントゲン検査)の目的や胃カメラ検査について解説していきます。

医師と胃のイメージ
目次

バリウム検査(胃部レントゲン検査)とは

胃や十二指腸、食道の変化や異常を調べる検査です。バリウム検査は、日本で開発された検査方法です。バリウムは、飲み込んでも胃や腸から吸収されることがないため、無害です。バリウムと言うと、美味しくない、飲むのが苦痛という印象がありますが、検査に支障のない範囲で甘味料や香料を使用して飲みやすくする様々な工夫が施されています。(美味しすぎると、胃液の分泌が促進され、検査結果に影響が出ることがあります)

バリウム検査でわかること

バリウム検査は、胃、十二指腸、食道の病気を調べる検査です。造影剤(バリウム)と発泡剤を飲み、胃を膨らませ、胃の内壁にまんべんなくバリウムを付着させることにより、粘膜の凹凸の有無を確認し、胃炎、胃潰瘍(いかいよう)、十二指腸潰瘍、がん(胃、食道)、ポリープ(胃、十二指腸、食道)、憩室(けいしつ)(胃、十二指腸、食道)などの病気の発見と診断を行う検査です。稀ですが、胃内視鏡検査で診断の難しいとされる胃の壁に広がっていくタイプの特殊ながん(スキルス)の発見につながることもあります。

なぜバリウム検査を拒否する人がいる?

3人の医者が首をかしげているイメージ

バリウム検査を受けられない人や、次のようなデメリットから受けたくないと言われるケースが考えられます。

バリウム検査のデメリット

バリウム検査のデメリットは、胃液の分泌が多い場合、胃の粘膜の状態を検出しにくくなるため、精度にムラが出ることがあります。

二番目に、検査後にバリウムを排泄しなければならないため、便秘しやすい人や検査後に水分を十分にとらない場合に、バリウムが排出されず、腹痛を起こしたり、腸閉塞、消化管穿孔(せんこう)、消化管出血などのトラブルを起こすこともごくまれにあります。

また、健康上大きな問題にはなりませんが、放射線被爆(3~4 mSv)があります。

この他、バリウムを飲むときに誤嚥(ごえん)してしまうと、肺や気管支にバリウムが入り、重篤な症状を起こすことがあります。またバリウムに過敏に反応しやすい人(とくに喘息やアトピー疾患の人)は、冷や汗が出る、呼吸が苦しくなる、などの症状を引き起こすこともあるため注意が必要です。

バリウムの誤嚥の危険や心配のある方は、遠慮せず、健診機関に相談するようにしましょう。

バリウム検査を受けない方がいい人は?

バリウム検査受診を検討した方がよい人

以前にバリウム検査を受けて、気分が悪くなったり、バリウムを上手く排出できないため医療機関を受診したことのある人は、胃カメラ検査に変更することを検討してみましょう。

また、過去に胃炎、胃潰瘍などの既往があると、要経過観察や精密検査の指示が出る可能性が高くなります。そのような方は、はじめから胃カメラ検査を選択することをお勧めします。

バリウム検査で精密検査が必要と診断されると、バリウム検査のあとに胃カメラ検査を続けて受けることになります。検査そのものが短期間に集中し、それなりの負担が生じます。精密検査を受けることは、異常の有無や診断のために大切ですが、あらかじめ対策を立てておくと、体への負担が抑えられます。

バリウム検査を受けられない人(検査の可否について、医師と相談の必要がある人)

  • 過去に胃の切除術を受けた方
  • 胃、十二指腸の病気があり、治療中の方や定期的に検査等による経過観察(定期通院)をしている方
  • 妊娠中および妊娠の可能性のある方
  • 過去にバリウム検査で過敏反応を起こしたことがある方や体調不良を起こす可能性がある方
  • 飲み込みが難しい方、脳の疾患がある方、むせやすい方
  • 立位を保持することが困難な方や手すりを自分でつかむことが出きない方(転落や転倒のリスクのある方)
  • 大腸の疾患や手術を受けたことがある方
  • 体重 130 kg以上の方(目安)
  • 腎臓や心臓の病気で、水分制限が必要な方

持病があり、服薬中の方は、治療内容や状況によっては、検査が受けられないことがあります。なお、健診機関によって判断が異なる可能性があります。あらかじめ、健診実施機関へのお問い合わせをお勧めします。

バリウム検査は拒否できる?

バリウム検査は、法定項目ではないため、検査を受けるかどうかを原則自分の意志で決めることが可能です。

バリウム検査は健康診断の必須項目ではない

労働安全衛生法 第 66 条 1 項に従業員には健康診断を受けることが義務付けられていますが、バリウム検査は法定項目に含まれていません。生活習慣病予防健診の一環として、バリウム検査がセットで含まれていることが多いです。健康診断を受ける際に、自分が受ける項目を確認しておきましょう。

バリウム検査が必須とされるケースは?

バリウム検査が必須とされる対象は特にありませんが、これまでに胃の検査を受けたことのない人や胃カメラ検査を受けたくない人は、生活習慣病予防健診の一環として受けておくとよいでしょう。働く年代の胃がんのリスクは減少傾向にあるといわれていますが、ゼロではありません。

バリウム検査と胃カメラ検査の違い

医者が人差し指を立てて笑顔でいる様

胃カメラ検査のメリットは、バリウム検査では見つけにくい凹凸のないような所見や粘膜の色の変化で早期のがんの診断ができます。組織を採取できるため、悪性の有無も調べることができます。食道についても同様です。

胃カメラ検査のデメリットは、検査の追加費用が発生すること、検査に伴う身体的な苦痛(嘔吐反射、喉の痛み、違和感など)があげられます。検査終了後も、しばらく不快な症状が続くこともあります。
この苦痛をやわらげる方法として、経鼻内視鏡検査や鎮静剤の使用を取り入れている健診機関もあるため、希望があれば問い合わせてみましょう。

バリウム検査のメリットは、胃の全体の変形や形状を捉えやすく、胃カメラ検査に比べて検査による苦痛が少ないことです。追加費用も発生しないことが多く、安価です。

バリウム検査のデメリットは、放射線の被爆があることと検査後のバリウムの排出が必要なことです。また、精密検査が必要になると、胃カメラ検査が必要になります。

胃カメラ検査はバリウム検査の代わりになる?

胃カメラ検査は、バリウム検査の代わりになります。ただし、稀ですが、胃内視鏡検査で診断が難しいとされる胃の壁に広がっていくタイプの特殊ながん(スキルス)はバリウム検査の方が見つけやすいようです。

これまでは、40才以上を対象にバリウム検査が推奨されてきましたが、2016年度からは、胃がんに罹る人が減少し、対象年齢が引き上げられました。現在の対象年齢は50才以上に変更され、2年に一度の胃カメラ検査が推奨されています。

この他、ヘリコバクターピロリ菌に感染している人や胃がん、食道がんなどの家族歴がある人は、50才未満であっても、胃カメラ検査が推奨されています。

一般的に胃カメラ検査の間隔は、2年ごとに一回の受診を推奨されていますが、バリウム検査は、当面の間、これまで通り1年に一度の受診が可能となっています。希望により交互に受ける方もいます。

バリウム検査を拒否する場合の企業の対処は?

バリウム検査または胃カメラ検査は、病気の早期発見や病気の有無を調べるため推奨されていますが、従業員が希望しない場合は、企業として罰則や報告の義務はありません。

理由は、胃の検査は、法定項目に含まれないからです。

企業の対処方法

従業員はバリウム検査結果を報告する義務も原則ありませんが、従業員が健康を維持し、働くために予防対策は必要です。メリット・デメリットを伝え、検査を推奨することをお勧めします。

胃カメラ検査に変更する場合や胃カメラ検査を受ける場合は、追加料金が発生することが多く見受けられます。企業が追加料金を負担する規定を作るなど、受診率を上げる対策も、従業員の健康維持に有効です。

検査を受けることで、がんの予防効果や死亡率を下げられることが科学的に立証されていることを明確に伝えることも大切です。

おわりに

胃の病気の予防策は、塩分を控える、ヘリコバクターピロリ菌に感染していれば除菌治療を受ける、喫煙者は禁煙する、等です。

バリウム検査や胃カメラ検査は、胃がんを早期に発見し、必要かつ適切な治療を行うことが目的です。
胃がんの罹患率は減少してきていますが、50才頃から増え始めます。検査を上手に受け、体調・健康管理に努めましょう。

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