健康診断は保険証なしでも受診できる?保険証の提示を求められる理由

企業は毎年健康診断を実施することが義務付けられていますが、健康診断を受けるにあたり、自己負担はあるのでしょうか。また、健康保険は適用されるのでしょうか。今回は意外と知られていない疑問について、解説いたします。

目次

健康診断は健康保険証がなくても受診できる?

忘れた健康保険証を受け取るイメージ画像

健康診断は、保険適用外の検査に該当するため、健康保険証がなくても受けられます。ただし、資格確認のため、保険証の提示を求められることがあります。

保険適用にならない理由

健康診断は、健康状態を把握するための検査です。病気の治療が目的ではないため、健康保険を適用することはできません。そのため、健康診断や人間ドックは、保険適用外になります。検査結果に異常がある、または何らかの症状があれば、健康保険は適用されます。

保険適用となるケースは?

健康診断結果にて、異常所見が認められ、再検査や精密検査の指示があれば、健康保険が適用されます。改めて、医療機関に受診して、健康保険証を提示して診療を受けてください。

再検査・精密検査を行う場合

健康診断の結果にて、経過観察、再検査、精密検査、要治療の判定があれば、二次検査や精密検査を受けることになります。この場合、健康保険証を使用できます。健康保険証の提示がないと、全額自己負担(10割負担)となるため、必ず健康保険証と検査結果(健康診断結果)を持参しましょう。

治療を行う場合

治療を受ける場合も再検査や精密検査の扱いと同様です。健康保険証と検査結果を持参してください。検査結果によっては、医療機関から紹介状が発行されることがあります。紹介状や画像データがあれば、より受診がスムーズになります。こちらも必要時、持参しましょう。

健康診断当日に何を持参したらよいの?

チェック項目のイメージ画像

何を持参する必要があるのかは、医療機関や健康保険組合によって差があるため、複雑なところですが、指示に従うとスムーズに健康診断を受診できます。一覧表から、持参する必要があるものがないか、チェックしてみましょう。

チェックリスト

  • 医療機関から送付されている問診票や承諾書(必要時)など
    *検査内容に応じて複数枚の場合もあります
  • 健康保健組合や事業所が発行した受診券(呼び名はそれぞれ異なります)
  • 健康保険証(マイナンバーカード)
  • 検便容器、検尿容器
  • 眼鏡やコンタクト使用者はコンタクトケース
  • 服薬している薬またはお薬手帳
  • ペースメーカー手帳など
  • マスク
  • 髪の長い方は、髪留め
  • 靴下、羽織もの、小さなポーチなど

なぜ、健康保険証の提示を求められる?

保険証をみて考える人の画像

定期健康診断の実施は、労働安全衛生法により事業者に義務付けられています。その費用は、法により健康診断の実施が義務付けられた事業者が負担するものとされています。所属の事業所や健康保健組合名の確認が必要となるため、保険証の提示が求められます。

治療が必要になった場合の備えとして

検査の当日に具合が悪くなる、当日に受診が必要になるケースもあります。健康診断以外にも医療行為が必要になった場合に備えて(血圧が高いなど)健康保険証を必ず携帯しておきましょう。

費用負担はどうなる?

健康診断の費用負担について考える画像

定期健康診断の費用は、法により健康診断の実施が義務付けられた事業者が負担するものとされています。
法定項目以外の項目、オプション検査、バリウム検査から胃カメラ検査への変更、詳しい項目が含まれる人間ドックについては、追加の費用が発生します。

追加分については、原則自己負担となりますが、事業所や健康保健組合の補助を利用できることが多いです。所属の事業所や健康保健組合によって、費用負担額や申請方法が異なります。ホームページなどで確認してみましょう。

また、指定医療機関であれば、立替払いが発生しないことが多いですが、指定外の医療機関を希望して受診する場合は、全額立替払いになることが多いようです。あらかじめ確認をしておきましょう。

費用はどれぐらい?

通常の健康診断の費用は、一万円前後ですが、追加のオプション検査、バリウム検査から胃カメラ検査に変更した場合などは、さらに費用が加算されます。医療機関によって金額が異なるため、確認して準備しておきましょう。クレジットカードやデビットカードなどを利用できる医療機関もあるため、その点も問い合わせてみるとよいですね。

まとめ

健康診断は健康保険の適用ではないため、保険証なしでも受けることができますが、法定項目部分の健康診断費用は事業所が負担するため、資格確認が必要となります。そのため、保険証の提示が求められます。健康診断を受診する際には、保険証を忘れずに準備しておきましょう。また、現在マイナンバーカードを利用した健康保険証の資格確認が進められています。希望する方は、併せて確認しておきましょう。(令和5年3月までには概ね医療機関で利用できる予定です。)

再検査、精密検査、治療が必要な項目は、健康保険が適用されます。保険診療扱いでの受診が必要です。二次検査の費用は、自己負担(3割負担)が発生しますが、二次検査の費用を負担している事業所もあるため、確認してみましょう。また、特殊健康診断の二次検査は、原則事業所負担です。

健康診断の窓口負担の有無は、医療機関により異なり、発生する場合と立替払いが必要な場合があります。健康診断の費用は概ね一万円前後ですが、追加のオプション検査、バリウム検査から胃カメラ検査に変更した場合など、費用が加算されます。概算を確認して準備しておきましょう。

最後に、健康診断を受けるための時間が労働時間に含まれるか否かについては、事業所の定めによります。多忙のため受けられないといった状況にならないためにも、業務時間内の受診が望ましいと言えます。事業所に確認してみましょう。

この記事を書いた人

小田部 淳子

看護師として外科病棟勤務。その後保健師として銀行の健康管理センターにて産業保健、健康管理センターにて人間ドックおよび健診後の保健指導、その後出版社にて健診後の文書指導、特定保健指導、糖尿病重症化事業、電話およびWeb健康相談、電話相談運営、社内研修企画運営、健康関連原稿の業務を歴任。現在、特定保健指導および原稿の業務に携わっている。

【保有資格および研修終了】

  •  看護師
  •  保健師
  •  養護教諭二種免許
  •  一種衛生管理者
  •  産業保健指導者、ヘルスケアトレーナー
  •  ピンクリボンアドバイザー初期認定
  •  東京糖尿病療養指導士
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