頭痛の原因・和らげる対処法

頭痛が起こると、日常生活に支障をきたすことがあります。不快な症状が起こり、ドラッグストアなどで、痛み止めを購入し、対応している方も珍しくないでしょう。

漫然と原因がわからないまま、長期に渡り自己判断で市販薬を服用すると、かえって症状がひどくなる、長期化する、薬の使用頻度が増えるなど、身体への負担が増え、症状が緩和せず長引く原因になります。

今回は頭痛の一般的な原因、治し方、和らげる対策や対処方法、受診の目安やタイミングについてご紹介いたします。

目次

頭痛の種類は?

頭痛は様々な原因によって引き起こされます。大きく分けて2つあり、一次性頭痛二次性頭痛があります。

一次性頭痛は、他の病気が存在しない、いわゆる慢性頭痛と言われるタイプです。慢性頭痛の代表的なものは、多い順に、緊張型頭痛(15歳以上の約20%)、片頭痛(偏頭痛)(約5~10%)、群発頭痛があげられます。

二次性頭痛は、他の病気が原因で起こり、緊急性の高い命に関わるような病気も含まれるため、注意が必要です。

慢性頭痛(一次性頭痛)の種類と原因は?

緊張型頭痛

長時間、同じ姿勢や無理な姿勢を保つことで起こりやすく、ストレス、筋肉の緊張などが原因となって引き起こされる頭痛で、慢性頭痛の中で一番多いタイプです。全頭痛の半数以上を占め、女性は男性の1.6倍生じやすいと言われています。

片頭痛(偏頭痛)

片側に起こる頭痛です。前兆のあるタイプ と 前兆のないタイプがありますが、一般的に前兆のないタイプが多くみられます。原因ははっきり解明されていませんが、脳の血管が神経を刺激し興奮することで発生すると言う説があります。また、引き金となる誘因があると言われていて、個人差があるものの食べ物や精神的なストレス、天候、激しい運動、生理周期が上げられます。女性に多くみられる頭痛です。

群発頭痛

非常に強い頭痛で、目の周りや額から片側に起こることが多く、数週間から数か月にわたって繰り返される頭痛です。原因は明確ではありませんが、目の奥の周辺の血管が拡張し神経を刺激することにより、激しい痛みが起こると考えられています。 通常、15分から3時間続き、頻度は、2日に1回~1日に8回発生します。春や秋など季節の変わり目に起こりやすく、20~30代の男性に多くみられます。

二次性頭痛の種類と一般的な原因は?

【脳腫瘍、脳出血、外傷などによる頭痛】
頭痛の他に、程度によっては意識がなくなる、吐き気などの症状が起こることがあります。

【飲酒や薬物が影響する頭痛】
アルコールや薬物の摂取が頭痛を引き起こすことがあります。

【目の疲れによる頭痛】
長時間のパソコン作業やスマートフォンなどの画面を見続けることで、目の疲れの蓄積により症状が起こります。

【その他】
寝不足気象の影響アレルギー反応などが原因となる頭痛もあります。

頭痛の治し方は?(和らげる対処法について)

外に出てストレッチを行い、リラックスしている女性の画像

若い世代に多い慢性頭痛は、年齢を重ねると自然に症状が軽くなる傾向がみられます。しかし、完全に治すことは難しく、うまく付き合っていく気持ちが大切でしょう。
慢性頭痛の治し方、対処法についてご紹介します。

【緊張性頭痛】を和らげる対策

(1)半身浴などで身体を温める、ストレッチなどの軽い運動を行い、 心身のストレス・疲れ・首のこり・肩こりを和らげることにより、症状の緩和を促し、増悪を防ぎます。

身体を冷やさないことがポイントです。

(2)痛みが強くなる前に、外気を吸う、適宜休憩をとるなど、ストレスの元からできるだけ離れ、リラックスします。

(3)上記の対策を行っても改善しない場合は、鎮痛剤を服用する方法もあります。ただし、鎮痛剤の常用は好ましくないため、使用する場合であっても、適切な量と頻度で使用し、週数回に留めましょう。長引く場合は、すみやかな受診が必要です。

緊張性頭痛の見分け方・チェックポイント

  1. 痛みの範囲は後頭部や側頭部が多く、片側とは限らない
  2. 雨や曇りの日に起こりやすく、気圧の変化により症状が強くなることがある。
  3. 肩や首などこりに伴い起こる
  4. 激しい痛みではないため、何とかしのげる

上記の項目の大半が該当すれば緊張性頭痛の可能性が高いです。

【片頭痛(偏頭痛)】を和らげる対策

(1)休息と睡眠をとります。ストレスや疲れが原因の頭痛の場合、適切な休息や睡眠をとると効果的です。日頃から寝起きの時間を一定にして、できるだけ不規則にならないように心がけ、睡眠不足にならないようにしましょう。

寝すぎも頭痛の原因になります。昼寝をする場合は、30分以内、15時前までにしましょう。

(2)食事を規則的にとり、個人差はありますが誘発する食品を控えることも大切です。また、低血糖になると頭痛の原因となりやすいため、欠食しないように気を付けます。

片頭痛(偏頭痛)の原因になりやすい食品
スナック菓子、チョコレート、チーズ、ベーコンやソーセージなど加工肉、柑橘類、ピーナッツ、ココアなど

(3)アルコールやタバコを控える。また、日頃からカフェインを取りすぎないことも大切です。

(4)水分を十分に補給します。身体に水分が足りないことにより頭痛が起こることがあります。

(5)ひどい症状でなければストレッチ運動を行います。頭痛の原因が筋肉の緊張にある場合は筋肉をほぐすことが有効です。とくに首まわりの筋肉をほぐしておくと効果的です。1日数回を目安にストレッチ運動を行ってみましょう。

(6)気持ちよい程度にアイスパックを使うとよいでしょう。温めると血管が拡張し、痛みが起きやすくなります。

(7)天気に影響を受けることがわかっていれば、激しい痛みが出る前に、服薬のタイミングや生活のペースを調整します。また、新幹線・飛行機・高速エレベーターなど、気圧の変化が痛みの引き金になることもあります。新幹線は気圧の変化の少ない中程の車両にするとよいでしょう。

(8)光に敏感な方はサングラスを使用し、人混みを避ける、刺激になる匂いを避けるなど、きっかけになっている誘因を避けるようにします。

片頭痛(偏頭痛)の見分け方・チェックポイント

  1. 繰り返し頭痛が起こる 
  2. 歩く、階段昇降など、体を動かすと頭痛がひどくなる
  3. 頭痛と共に、吐き気や胃がムカムカする
  4. 光がまぶしく感じる、目がチカチカする
  5. 頭痛の持続は4~72時間
  6. 家族に片頭痛(偏頭痛)の人がいる

上記の項目の該当項目が多いと片頭痛(偏頭痛)の可能性が高いです。

【群発頭痛】を和らげる対策

(1)誘発する要因を避けることが非常に大切です。アルコールやタバコをできるだけ控え、睡眠不足にならないように常に規則正しい生活を意識します。できれば、禁酒と禁煙を検討することをお勧めします。また、長い時間の昼寝も好ましくありません。

(2)気圧の変化は、痛みを誘発させることになります。急激に気圧が変化するような登山、飛行機などは、避けることが望ましいですが、どうしても必要なときは、主治医へ相談するようにしましょう。

(3)群発頭痛は、一度頭痛が起こると通常、市販薬で症状を抑えることはできません。症状が起こったときに有効な薬剤をあらかじめ処方してもらい、携帯しておきましょう。
そのためには、早めに診断を受け、治療方針を決めておかなければなりません。
内服薬は、効くまでに1時間近くかかるため、痛みの激しい群発頭痛の場合、15分以内に痛みが治まる自己注射を使用することが多いです。他にも経鼻スプレーもあります。 また、薬の使用以外には酸素吸入(医療用の高濃度の酸素吸入約15分程度)が有効と言われていますので、状況に応じて併用することもできます。主治医と相談して、自分に合った治療方法を決めておきましょう。

群発頭痛の見分け方・チェックポイント

頭痛が起こる前には、涙、鼻水、目が赤くなるなどの症状が起こりやすくなります。 頭痛が起こると、しばらく毎日症状が続くことが多いです。症状を記録しておくと、次回早めに治療を始めるタイミングがつかめるようになります。

頭痛ダイアリーの活用を

頭痛の起きやすい条件、時間帯、薬を使うタイミングの他、受診の際の診断の助け、薬の種類や有効性などの判断材料になります。

サプリメントで予防できる頭痛はある?

片頭痛(偏頭痛)の予防マグネシウムビタミンB2フィーバーフュー(ナツシロギク)が推奨されています。

市販薬の使用の目安は?

月に数回の頭痛で、市販薬を飲んで1~2時間で治まるなら問題ありませんが、月10日以上服薬している場合は、好ましくありません。 市販薬を頻繁に使用すると、脳が敏感になり、かえって痛みの頻度が増えたり、薬の効きが悪くなることがあります。生活に支障を感じ、改善されない場合は、受診が必要です。

一般的な受診の目安は?何科に行ったらよい?

自分で対処してもよくならない、度々起こるようになった、症状が改善せず負担が大きくなる場合は、早めの受診をお勧めします。

特に激しい頭痛の場合は、すみやかに医師の診断を受けることが重要です。 受診の際に、症状の起こり方や痛みの持続時間などをあらかじめメモなどに記し、持参すると診断の助けになります。

診療科は、一般内科、頭痛外来、脳神経外科、神経内科です。

まとめ

市販薬を頻繁に使うと、かえって症状の頻度が増す、症状がひどくなることもあります。

専門家による診断を受け、頭痛のタイプがわかれば、対処方法もおのずと明らかになり、つらい症状を未然に防ぐことができるようになるでしょう。頭痛と上手に付き合い、コントロールしていきましょう。

この記事を書いた人

小田部 淳子

看護師として外科病棟勤務。その後保健師として銀行の健康管理センターにて産業保健、健康管理センターにて人間ドックおよび健診後の保健指導、その後出版社にて健診後の文書指導、特定保健指導、糖尿病重症化事業、電話およびWeb健康相談、電話相談運営、社内研修企画運営、健康関連原稿の業務を歴任。現在、特定保健指導および原稿の業務に携わっている。

【保有資格および研修終了】

  •  看護師
  •  保健師
  •  養護教諭二種免許
  •  一種衛生管理者
  •  産業保健指導者、ヘルスケアトレーナー
  •  ピンクリボンアドバイザー初期認定
  •  東京糖尿病療養指導士
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