健康診断の結果管理、ストレスチェック、長時間労働者への面接指導――。
従業員の健康に関わる業務は年々増え、紙やExcelでの管理に限界を感じている担当者の方も多いのではないでしょうか。
健康管理システムは、こうした業務を効率化し、従業員の健康データを活用するための仕組みです。ただし、製品ごとに得意分野や提供形態が大きく異なるため、「有名だから」「安いから」だけで選ぶと、導入後に「自社の運用に合わない」ということになりかねません。
本記事では、健康管理システムを選ぶ前に押さえておきたい考え方と、比較・選定のポイントを整理します。
※本記事は、健康管理システム「Be Health」を提供する株式会社エヌ・エイ・シー・ケアが作成しています。特定の製品に偏らないよう、各社の公開情報をもとに中立的な立場で解説しています。
健康管理システムとは
健康管理システムとは、従業員の健康診断結果、ストレスチェック結果、面談記録、長時間労働の状況などを一元管理し、関連業務を効率化するためのシステムです。一般的には、次のような業務に対応しています。
- 健康診断の受診状況の管理と、未受診者への受診勧奨
- 健診結果の取り込み・判定、有所見者の抽出と二次健診の受診勧奨
- 就業判定、産業医・保健師による面談の記録
- ストレスチェックの実施と集団分析
- 労働基準監督署への報告書の作成
- 従業員本人による健診結果の閲覧
導入が求められる背景
法定業務の負担増
健康診断後の事後措置やストレスチェックなど、事業者が行うべき健康管理業務は多岐にわたります。
さらに、2025年の労働安全衛生法改正により、これまで努力義務だった従業員50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化されることになりました(公布から3年以内に施行予定)。
対応が必要な企業の裾野は、今後さらに広がります。
健康経営・人的資本開示への対応
健康経営優良法人の認定取得や、人的資本情報の開示に取り組む企業が増えています。
これらの取り組みでは、健康データを集計・分析し、施策の効果を示すことが求められます。
紙やExcelでの管理では、データの集計そのものに多くの時間がかかってしまいます。
導入前に整理しておきたい3つのこと
製品比較を始める前に、まず自社の状況を整理しておくと、選定がスムーズになります。
① 社内の体制
産業医や保健師などの専門職が社内にいるか、健康管理業務を誰がどのくらいの時間で担っているか。
体制によって、必要なのが「システム」なのか「システム+人的サポート」なのかが変わります。
② 規模と拠点
従業員数、事業所の数、利用している健診機関の数。
拠点や健診機関が多いほど、健診データの形式がばらばらになりやすく、データの取り込み方法が重要になります。
③ 解決したい課題の優先順位
「事務作業を減らしたい」「健康経営の分析をしたい」「従業員の健康意識を高めたい」など、
目的によって重視すべき機能は異なります。すべてを満たそうとせず、優先順位をつけておくことが大切です。
健康管理システムの4つの類型
健康管理システムは、どのような価値を提供しているかによって、大きく4つの類型に分けて考えることができます。

人的サービス一体型
主なサービス例:Carely/ハピネスパートナーズ/mediment/HealthCore
システムに加えて、産業医の紹介、相談窓口、健診代行などの専門家によるサービスを組み合わせて提供するタイプです。システムと専門家のサポートを一つの窓口で受けられるため、社内に産業医や保健師がいない、または手薄な企業に向いています。一方で、サービスの範囲が広い分、どこまでが基本料金に含まれるかを確認しておく必要があります。
健保・福利厚生寄り型
主なサービス例:WellGo/バリューHR
企業と健康保険組合の連携(コラボヘルス)や、ポイント・インセンティブの仕組み、健診予約などに強みを持つタイプです。健保と一体となった健康施策を進めたい企業や、従業員の参加を促す仕掛けを重視する企業に向いています。
システム+業務代行(BPO)型
主なサービス例:けんさぽ/バリューHR
健診の予約調整、結果のデータ化、受診勧奨などの事務作業を、システムとあわせて外部に委託できるタイプです。担当者の人手が足りず、アナログな作業そのものを減らしたい企業に向いています。委託範囲によって費用が変わるため、自社で担う業務と委託する業務の線引きを明確にしておくことがポイントです。
システム+導入支援型
主なサービス例:HM-neo/Growbase/Be Health
システムの機能と、導入時・運用時の支援を中心に提供するタイプです。専門家サービスは必要に応じて別途手配する形になります。社内の担当者や専門職が自らシステムを使いこなし、自社の運用に合わせて管理したい企業に向いています。
※類型は各社の公開情報をもとにした編集部の分類です(2026年9月時点)。複数の類型にまたがるサービスもあり、各サービスの詳細は提供元にご確認ください。
4つの類型を「システムを自社で運用するか、外部の専門家・代行を活用するか」「法定業務・実務を重視するか、健康増進・参加促進を重視するか」という2つの軸で整理すると、図2のようなイメージになります。

たとえば、社内に産業医や保健師がいて自らシステムを使いこなしたい企業は左下、専門職の体制が手薄で外部の支援を受けたい企業は右側、健保と連携した健康増進に力を入れたい企業は上側の類型が候補になります。なお、当社のBe Healthは「システム+導入支援型」に該当します。
どの類型が優れているということではなく、自社の体制と課題に合った類型を選ぶことが、導入を成功させる第一歩です。
比較・選定のチェックポイント
類型の方向性が決まったら、具体的な製品を比較します。主なチェックポイントは次のとおりです。
| チェック項目 | 確認したいポイント |
| 健診データの取り込み | 健診機関ごとに異なる形式に対応できるか。紙・PDFのデータ化の方法(自社作業/OCR/代行)と費用 |
| 法定業務への対応 | 就業判定、事後措置、労基署報告書の作成、特殊健診の管理に対応しているか |
| ストレスチェック | 実施から集団分析までできるか。調査票の種類(57項目版・80項目版など)や分析の内容 |
| 従業員向け機能 | 結果の閲覧のしやすさ、スマートフォン対応、多言語対応、健康増進の仕掛け |
| セキュリティ | ISMS・プライバシーマークなどの認証、アクセス権限の細かさ、提供形態(クラウド共用/専用環境など) |
| 外部連携 | 人事システムや勤怠システムとのデータ連携の方法 |
| 導入・運用サポート | 過去データの移行支援(有償か無償か)、導入時・導入後の伴走、問い合わせ体制。産業保健の実務とITの両面で相談できるか |
| 費用 | 初期費用、月額・年額、オプション費用を含めた総額 |
特に健診データの取り込みは、運用開始後の手間を大きく左右します。デモやトライアルの際は、実際に自社が受け取っている健診結果の形式で取り込みを試すことをおすすめします。
費用は「総額」で比較する
健康管理システムの料金体系は、「従業員1人あたり月額◯円」の従量課金型、規模に応じた定額型、初期費用+年額型などさまざまです。そのため、単価だけを並べて比較すると、実際の負担額を見誤ることがあります。
比較の際は、次の要素をすべて含めた3〜5年間の総額で試算するのがおすすめです。
- 初期費用(導入費、データ移行費)
- 月額・年額の利用料(従業員数に応じた金額)
- オプション費用(ストレスチェック、特殊健診、代行サービスなど)
- 契約期間の条件(最低利用期間など)
また、同じ製品でも従業員規模によって割安・割高が変わります。自社の従業員数で見積もりを取り、同じ条件で比べることが大切です。
導入の進め方

- 現状把握 :現在の業務フローと担当者の工数、課題を洗い出します。
- 要件整理 :必須の機能と、あると望ましい機能を分け、優先順位を決めます。
- 比較・選定:候補を2〜3製品に絞り、デモやトライアルで実際の操作性を確認します。費用は総額で比較します。
- 導入準備 :過去データの移行範囲、閲覧権限、運用ルールを設計します。
健診の時期から逆算してスケジュールを組むのがポイントです。 - 運用・改善:利用状況や業務削減の効果を確認し、次年度の健康管理計画に反映します。
よくある失敗と対策
機能の多さで選んでしまう
多機能な製品が必ずしも自社に合うとは限りません。使わない機能のために費用がかさんだり、操作が複雑になったりすることがあります。「3. 導入前に整理しておきたい3つのこと」で決めた優先順位に立ち返りましょう。
データ移行の手間を見落とす
過去の健診結果をどこまで移行するか、その作業を誰が行うかで、導入の負担は大きく変わります。移行の範囲と費用は、契約前に確認しておきましょう。
導入後のサポート体制を確認していない
健康管理システムは、導入して終わりではありません。健診の時期ごとの運用、法改正への対応、担当者の異動など、導入後にも相談したい場面は続きます。このとき、システムの操作方法だけでなく、「有所見者の就業判定や事後措置をどう管理すればよいか」「ストレスチェックの集団分析をどう活かすか」といった産業保健の実務まで理解したうえで相談にのってもらえるかどうかで、システムの定着のしやすさは大きく変わります。
サポートの質は、契約前の営業段階からある程度見極められます。自社の産業保健の運用に関する質問と、人事システムとの連携やセキュリティなどITに関する質問の両方を投げかけ、どちらにも具体的に答えてもらえるかを確認してみましょう。あわせて、導入後の問い合わせ窓口、対応時間、定期的なフォローの有無も確認しておくと安心です。
導入後に使われない
管理者だけでなく、産業医・保健師や従業員が実際に使うかどうかも重要です。関係者を早い段階で選定に巻き込み、デモで操作性を確認してもらうと、定着しやすくなります。
まとめ
健康管理システムは、製品ごとに得意分野や提供形態が大きく異なります。
導入を成功させるポイントは、次の4つです。
- 自社の体制(専門職の有無)、規模、課題を先に整理する
- 4つの類型から、自社に合った方向性を見定める
- 機能は優先順位で、費用は総額で比較する
- 導入後も産業保健とITの両面で相談できるサポート体制かを確認する
「自社にはどの類型が合うのか」を考えることから始めてみてください。
Be Healthのサポートについて
Be Healthでは、産業保健の業務知識とITの両方に通じたサポート担当が、導入前のご相談から導入後の運用まで伴走します。「自社の運用に合わせてシステムをどう設定すればよいか」「事後措置の流れをどう整えるか」といった、システムの操作にとどまらないご相談にも対応しています。
導入企業様からは「私たち産業保健スタッフに寄り添い、『小売業の産業保健』としてやりたい形を一緒になって目指してくれます」(株式会社平和堂様)といった声をいただいています。
健康管理システムの導入をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。
参考:各社公式サイト、比較サイト掲載情報(2026年9月時点)。記載のサービス名は各社の商標または登録商標です。


