おさえていますか?厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準」改正に関する4つのポイント

2021年9月14日、厚生労働省は「脳・心臓疾患の労災認定基準」の改正に関する通達を出し、翌9月15日から施行されました。改正に関するポイントについてご存知でしょうか?今回の改正は約20年ぶりとなります。

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目次

認定基準改正のポイント

  1. 長時間の過重業務の評価に当たり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化
  2. 長時間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直し
  3. 短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化
  4. 対象疾病に「重篤な心不全」を追加

各改正ポイントの解説

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長時間の過重業務の評価に当たり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化

これまでは発症前の「時間外労働」がいわゆる「過労死ライン(1ヶ月に概ね100時間または2ヶ月ないし6ヶ月にわたって、1ヶ月あたり80時間を超える時間外労働)」に至っていることが労災認定の大きな要素でしたが、新基準ではこれに近い時間外労働を行った場合には、「労働時間以外の負荷要因」を総合評価して労災認定することを明確化しました。「過労死ライン」自体は、改正前の基準が維持されています。

長時間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直し

「労働時間以外の負荷要因」の見直しを行い、以下の項目が追加されました。

・休日のない連続勤務
・勤務間インターバルが短い勤務
・その他事業場における移動を伴う業務
・心理的負荷を伴う業務
・身体的負荷を伴う作業

短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化

業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を例示し、明確化しました。
短時間の過重業務などで、業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を以下のように例示し、明確化しました。

・発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合
・発症前おおむね1週間継続して、深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合
・事故の発生に伴って著しい身体的、精神的負荷のかかる救助活動や事故処理に携わった場合

対象疾病に「重篤な心不全」を追加

改正前は「心停止」に含まれていた心不全症状ですが、心不全は心停止とは異なる病態のため、改正後は新たな対象疾病として「重篤な心不全」が追加されました。

なお、認定基準の対象疾病は以下のとおりです。

脳血管疾患

  1. 脳内出血(脳出血)
  2. くも膜下出血
  3. 脳梗塞
  4. 高血圧性脳症

虚血性心疾患等

  1. 心筋梗塞
  2. 狭心症
  3. 心停止(心臓性突然死を含む)
  4. 重篤な心不全
  5. 大動脈解離

改正ポイントのまとめ

今回の改正では、労災認定の対象が「労働時間以外の要因」までも柔軟に考慮するようになったといえます。企業としては労働安全衛生法に基づき、従業員の労働災害を防ぐよう努めるべきですが、過重労働の管理だけではなく、健康状態との関係でリスクが高い従業員から優先順位をつけて対応していきましょう。

【参考】厚生労働省―脳・心臓疾患の労災認定基準を改正しました

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21017.html

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